【高校数学】指数対数とは?
指数と対数
今回は指数と対数についてお話しします。 これらは数学$\mathrm{II}$で習います。 「指数」という言葉自体は、ひょっとしたら中学$1$年で習うかもしれません。 右肩に乗った数字を「指数」と言います。 例えば$3^4$は「$3$を$4$回掛けた数」ですが、
$3^4$それ自体(大きさは$81$)を累乗と呼び、$4$のことを指数と呼びます


一方「対数」は中学数学では登場しません。 高校では何かとセットで扱われる「指数」と「対数」ですが、 これら二つは一体どういう関係にあるのでしょうか。

本来なら、指数が自然数以外の場合も考えなければならないのですが、 今回は「指数」と「対数」の関係に絞って話を進めていきます。

対数は累乗の表現を変えたもの
導入部分で紹介しましたが、

\begin{eqnarray*} 「3を4回掛けると81」 \Leftrightarrow 3^4=81 \end{eqnarray*}

というように、指数を使えば同じものを何度も掛けるということを簡潔に表現することができます。 $3\times 3 \times 3 \times 3$としても良いですが、面倒くさいですね。

一方で対数はというと、

\begin{eqnarray*} 「81は3を4回掛けたものだ」 \Leftrightarrow \log_3 81=4 \end{eqnarray*}

という風に、
「81について」の情報を与えるものが対数
です。 「$\log_3 81$を計算して!」と言われたら「$81$って$3$の何乗なの?」という質問に答えればよいわけです。 $\log_3 81$は「81を3で評価したもの」と表現してもいいかもしれません。 いくつか例を挙げておきます。

\begin{eqnarray*} 「1000は10を3回掛けたものだ」 &\Leftrightarrow& \log_{10} 1000=3 \Leftrightarrow 10^3=1000 \\ 「64は2を6回掛けたものだ」 &\Leftrightarrow& \log_{2} 64=6 \Leftrightarrow 2^6=64 \\ 「64は4を3回掛けたものだ」 &\Leftrightarrow& \log_{4} 64=3 \Leftrightarrow 4^3=64 \\ 「729は3を6回掛けたものだ」 &\Leftrightarrow& \log_{3} 3^6=729 \Leftrightarrow 3^6=729 \end{eqnarray*}

これを見てわかる通り、指数と対数ではその表現の方法は大きく異なりますが、
表現されている内容自体はどちらも同じ
です。 「$\log$」がいきなり登場し難しく見えますが、 「何乗になるかなー」と考えれば良いわけですから、言っていること自体は簡単ですね。

なお、$\log_10 1000$の$10$を「底」、$1000$を真数と呼びます。

指数と対数の計算法則
ここからは具体的な計算方法についてみていきたいと思います。 全てではなく指数と対数の関係がしっかり分かるところのみを拾います。 「2を3回掛けてさらに2を4回掛けると、2を7回掛けたことになる」ということを式で表すと、

\begin{eqnarray*} 2^3\times 2^4&=&2^{3+4}=2^7\\ \Leftrightarrow\log_2\left( 2^3\times 2^4\right)&=&\log_2 2^3 +\log_2 2^4=3+4=7 \end{eqnarray*}

という風になります。普通に考えて、「2を3回掛けて、さらに2を4回掛ける」なら合計「2を7回掛けた」ことになりますが、 これをストレートに数式に直したものが指数法則$a^ma^n=a^{m+n}$です。 よく、$a^ma^n=a^{m\times n}$と間違ってしまう人がいますが、
指数の計算をする時は「何回掛けたか」を意識
しましょう。

対数の方はというと、「$2^3\times 2^4$って結局$2$を何回掛けたの?」という質問に答えればよいわけです。 $2^3$では$2$を$3$回、$2^4$では$2$を$4$回掛けたわけですから、合計は$7$回となります。 かなり遠回りな言い方になりますが、これを数式に直すと上記の様に表現できますね。

ここから対数の性質として、以下の様にまとめられます。

\begin{eqnarray*} \log_a M\times N&=&\log_a M+\log_a N\\ \log_a M^p&=&p\log_aM \end{eqnarray*}

1つ目は$\log$の中の掛け算は足し算として解体できる、ということですね。 2つ目は$\log$の中の指数は$\log$の外に出せるということになります。

対数の厳密な定義
ここまで対数を日本語の意味を明らかなしながら説明してきましたが、これを厳密に定義すると次のようになります。


  定義:対数  
$a>0,\ a\neq 1$なる実数$a$と任意の正の実数$M$に対し、

\begin{eqnarray*} a^p=M \end{eqnarray*}

を満たす実数$p$が一意に存在し、これを

\begin{eqnarray*} p=\log_aM \end{eqnarray*}

と表す。



確かに誤解を生まない簡潔な表現だと思いますが、初見で分かる人は稀なのではと思います。 対数に限らず、
数学の定義で分からないと感じたら、 まずは文字に具体的な数字を当てはめてみて
ください。 今の場合だと、$a=2,\ p=3,\ M=8$などですね。

また、その定義や表現を(長くなりますが)上手く日本語に直せたなら、理解が深まったと考えてよいと思います。 行列など言い換え辛いものもありますが、 これが出来れば基本的な性質などはすんなりと頭に入ると思います。

指数と対数の(特にグラフ上での)関係について書ききれてない部分もありますが、長くなりますので一度ここでまとめます。

対数は累乗の表現を変えたもの

$\log$の計算は「真数が底の何乗になるかなー」と考える

定義が分からないなら具体例を考える


計算規則や形式から入ることも時には必要ですが、 最終的には定義や定理の意味や動機を理解することが大切ですので、 これを念頭に練習してみてください。