【数学全般】数学は暗記でなんとかなる?
数学には暗記が必要?
ネットや噂等でたまに「数学は暗記で何とかなる」と耳にします。 恐らく「公式や解き方を憶えていれば大丈夫」という意味だと思いますが、 今回はこれを取り上げたいと思います。

私自身は数学を暗記科目だと思ったことはなく、 むしろ「如何にして公式を暗記せずに」解くかを意識しているくらいなのですが、 個人的な意見として
「数学=暗記」は3割正しい
と思っています。 今回はその理由をお伝えできればと思います。

あくまで個人的見解として、参考程度にお読みくださいね。

公式や解法を暗記していなければ、テストで点は取れない?
まずサブタイトルの質問に対して、余程のことがない限り私は「取れません!」と答えます。

以前お伝えした通り、数学の問題を解くのに必要なツール(公式や定理)が頭に入っていなければ 正解することは難しいでしょう。 公式をその場で証明することが出来れば憶えていなくてよいですが、 時間が足りなくなってしまいますね。

従って、
テストである程度の点数を取る最低条件として、定義や公式の暗記が必要だ
と思います。 また比較的易しい定期テスト、例えば課題と同じ問題しか出題されないような場合であれば、 深く理解していなくても、解法の暗記だけである程度の点数は取れると思います。

加えて、解法を憶えていなければ明らかに時間が足りない構成になっている定期テストも多くありますから、
内申点や評定といったスコアを伸ばすために、解法の丸暗記が有効な場合が多い
というのは事実です。

しかし、もし仮に習った事柄すべてを完璧に暗記したとしても、それがそのまま完璧な学びだとは言い難いと思います。 労力に見合わないといった方がいいかもしれませんが、これは次に詳しく述べたいと思います。

公式や解法を暗記し
さえ
すれば、賢くなれる?
私はこの質問に対しても「なれません!」と答えます。

一般に難しいとされている問題、例えば旧帝大の入試問題などでも 「定石」「頻出パターン」の組み合わせで解けてしまう場合は少なくありません。 というより、これは(高校までの)数学の良問にとって不可欠なことだと考えています。

ですがある程度以上の難易度の問題を解くには(これ以外にもたくさんあると思いますが)、

   ・色々な定石を試しに当てはめてみる「試行力」
   ・正解まで処理しきる「情報処理能力」
   ・正しく答案を書く「表現力」

等が必須です。

無論こういった力は、公式を赤シートで隠して丸暗記しているだけでは絶対に身に付きません。 「どうやって解くか分からないように思える」問題と何度も向き合うことが何よりも大切です。

そして何より、大人になって数学の公式自体を使わない人も大勢いますから、 多くの人にとって
数学を学ぶ目的は「試行力」「情報処理能力」「表現力」等を身に付けること
です。 そういった意味では(あくまで極論ですが・・・) 「将来使わないであろう数学の公式を丸暗記するのに意味はない」と考えています。

まとめ:結局数学は暗記科目なの?
結論として、
数学は暗記力をつけるためにある科目ではない
と個人的に思っています。 抽象的で無味乾燥に思える数学でわざわざ暗記の練習をする意味は薄く、 数学より具体的な理科や社会の方が適任かと思います。

とはいえ、公式の暗記をしてはいけないなんて言うつもりは毛頭ありません。 むしろ生徒に「憶えて!!」ということの方が多いです。 そうしなければテストで点は取れない上、 暗記だけで何とかなってしまう試験が多いのも事実ですし、 その試験が受験者の成功体験に繋がるなら、暗記による数学も大いに歓迎されるべきです。

ですが
大人になってから本当に使えるのは、数学から教えられる「公式以外の部分」
ですから、 暗記数学で終わってしまうのはあまりにもったいないですよね。 テストや評価のためだけではなく、 将来の自分へ投資するために数学を勉強するんだという意思があるなら、 暗記する前にまずしっかり公式と話し合ってみてください。

まずは例えば、 「この公式は一体何の意図があって作られたんだろう?」とか 「解説はこうやって解いてるけど、こんな風にやったらダメかな?」等の疑問を持ってみましょう。 「円周角の定理って信用できん。これマジ?」くらい疑ってみてもいいです。

次に手を動かしてみましょう。 コンパスで円を書いて円周角の定理を確かめるのもいいですし、 「内角の和が$180^\circ$にならない三角形を見つけて見せる!」等あえて反逆してみるのもいいですよ。 そのうえで証明や解説をみて、最初の疑問符が「この公式すげぇ便利!」とか「この解法の方が計算が楽だ!」といった 感嘆符に変われば素晴らしいと思います。

暗記からではなく対話と理解から
、数学の学習を始められれば良いですね。