【小学算数】分数の意味と使い方
小学校で習う分数
「分数ってなに??」と聞かれたら、皆さんはどう答えますか?
小学生の時に算数で必ず習うと思いますので、
例の「分母と分子がある」形は想像してもらえると思います。
「通分」「約分」といった計算方法もご存じかと思いますが、
$0$以上の整数と小数しか分からない人に説明して下さいと言われると難しいかもしれません。
ここでは分数やその計算方法が持つ意味を説明していきたいと思います。
あくまで算数として話を進めますので、
数学的に考えると舌足らずな所もあるかもしれませんがご了承ください。
分数は割り算の別表現
第一に「分数は割り算の表現を変えたもの」です。
つまり$2\div 3$を
\begin{eqnarray*}
2\div 3=\frac{2}{3}\left(=0.6666666\cdots\right)
\end{eqnarray*}
の様に書く、ということですね。これが分数の出発点です。
「$2$を$3$で割ったもの」を小数や整数で表しにくいから、
というのが大きな動機だと思います。
循環小数の表記法を使うのも手ですが、何を何で割ったのか分かりにくいですね。
単位を補って考えると、
「洗面器3杯分で$2\mathrm{L}$の時、1杯分の体積は$\displaystyle\frac{2}{3}\mathrm{L}$」
の様に単位量や割合として捉えることもできます。
割り算は「$1$つあたりを求める計算」ですからね。
勿論体積じゃなくても大丈夫です。
長さや面積、重さなどいくらでも分割できるものなら何でもOKです。
別の捉え方として、下の割り算を考えてみてください。
\begin{eqnarray*}
\frac{1}{5}=1\div 5&=&0.2\\
\frac{3}{5}=3\div 5&=&0.6
\end{eqnarray*}
二つの式を見比べると、$0.6$は$0.2$を$3$つ足したものですから、
$\frac{3}{5}$は$\frac{1}{5}$を$3$つ集めたものだと分かります。
このように、
分母は「$1$をいくつに分けたか」を表し、分子は「かけら何個分か」を表す
とも考えられますね。
次からは分数の計算規則、特に約分と通分について見ていきます。
約分について
約分は「分母と分子を同じ数で割る」ことで、
約分をしても分数の大きさは変わりません
。例えば
\begin{eqnarray*}
\frac{3}{6}=\frac{1}{2}
\end{eqnarray*}
\begin{eqnarray*}
\frac{3}{6}&=&3\div 6=0.5\\
\frac{1}{2}&=&1\div 2=0.5
\end{eqnarray*}
ですので、$\frac{3}{6}$も$\frac{1}{2}$も同じ大きさですね。
単位を付けて考えると、色々な見方ができます。
例えば、
$3$つのケーキを$6$人で分ける
なら
\begin{eqnarray*}
\frac{3}{6}=3\div 6=0.5
\end{eqnarray*}
つまり$1$人分はケーキ半分なります。
これを
$1$つのケーキを$2$人で分ける(操作を$3$回する)
ことだと考えてみましょう。
つまりケーキが$3$つあるので、$6$人を$3$つのグループに分け、それぞれでケーキを分け合います。
$1$つのグループに注目すると
\begin{eqnarray*}
\frac{1}{2}=1\div 2=0.5
\end{eqnarray*}
という風に約分をしてから小数に直すことなりますが、どちらの答えも(一人当たり半分で)変わりません。
このように、約分しても値や意味が変わらないのであれば、なるべく数が小さいほうが分かりやすいですから、
「約分を忘れないでね!」と教えられるわけですね。
勿論これ以外にも様々な意味づけが出来ると思います。
通分について
通分とは「分母を同じにする」ことで、
通分をしても分数の大きさは変わりません
。
分母の違う分数同士を足したり引いたりするときに使います。例えば
\begin{eqnarray*}
\frac{1}{3}+\frac{1}{2}&=&\frac{2}{6}+\frac{3}{6}\\
&=&\frac{5}{6}
\end{eqnarray*}
という感じですね。
仮に分母と分子をそのまま足して$\frac{2}{5}$等としてしまったらイコールで結べません。
$\frac{2}{5}=2\div 5=0.4$ですが、これは$\frac{1}{2}=1\div 2=0.5$より小さくなってしまっています。
通分の意味は「同じサイズになるまで切る」ということです。
$\frac{1}{3}$は$\frac{1}{6}$が$2$つ分であり、
$\frac{1}{2}$は$\frac{1}{6}$が$3$つ分になるので、
足せば$\frac{1}{6}$が$5$つ分で$\frac{5}{6}$ということですね。
分数の分母と分子に同じ数をかけても、
細かく刻んでいるだけで大きさは変わらない、ということを利用するのが通分です。
結論として、分数の足し算や引き算は、通分をしてから分子のみを足したり引いたりすればOKということですね。
この考え方は数学でも使う
算数の話ではなくなりますが、
通分や約分の考え方は分母の有理化や分数式の変形などに形を変え、
中学校や高校で扱う数学にも登場します。例えば
\begin{eqnarray*}
\frac{\sqrt{2}}{\sqrt{2}-1}&=&\frac{\sqrt{2}\left(\sqrt{2}+1\right)}{\left(\sqrt{2}-1\right)\left(\sqrt{2}+1\right)}\\
&=&\frac{2+\sqrt{2}}{2-1}\\
&=&2+\sqrt{2}
\end{eqnarray*}
\begin{eqnarray*}
\frac{x^2-1}{x^3-1}&=&\frac{\left(x+1\right)\left(x-1\right)}{\left(x-1\right)\left(x^2+x+1\right)}\\
&=&\frac{x+1}{x^2+x+1}\left(x\neq 1\right)
\end{eqnarray*}
といった変形ですね。平方根や因数分解の知識は必要ですが、どちらも
分子と分母に同じものをかけても(を同じもので割っても)意味は変わらない
という分数の性質に基づいた式変形です。
算数で分数を習った時にこの本質を理解しておくことが大切です。
まとめ
分数は割り算の別表現
約分:分母と分子を同じ数で割ること
通分:分母と分子に同じ数を掛けて分母をそろえること
約分や通分をしても分数の大きさは変わらない
上記以外にも重要なこと、例えば「小数に直すときは分母を$10$の累乗にする」など、
素早く分数を計算するために必要な知識は数多くあると思います。
ですが今回のテーマはあくまで「分数の意味」ですので、
また別の機会に紹介できればと思います。
分数は数学でも頻繁に使うので約分や通分の練習は必要ですが、
それらの意味をしっかりと捉えて納得しながら進めてくださいね。