【中学理科】直列回路と並列回路
キルヒホッフの法則
中学2年の理科で「$I=I_1+I_2$」や「$V=V_1=V_2$」といった公式を学ぶと思います。 添え字付きのごちゃっとした数式が突然登場してしまうせいか、 この単元に苦手意識を憶えてしまう人も多いようですね。

今回はまず「回路に流れる電流や電圧の大きさ」はどうなるのかということについて 解説していきたいと思います。 今日扱う内容、つまり中学理科で習うのは「キルヒホッフの法則」の一部分のみですが、 中学の間に法則名自体は登場しないようですね。

電流と電圧について
まずは電流や電圧について知っておかなければなりません。 (雷や放電現象を除き)電流は基本的に目に見えませんから、
これらについてしっかりとしたイメージを持つこと
が理解に繋がります。 ここでは次のような電球$E$と電球$M$をつないだ直列回路と並列回路を考えます。

この回路について多少乱暴ではありますが、それぞれ次のように例えて考えてください。

   ・電球$=$授業
   ・電池$=$家
   ・電流$I=$(時間あたりに)授業を受ける生徒の人数
   ・電圧$V=$生徒のやる気や体力の消費量と回復量

図中の小さな$E$や$M$は、
どの部分の値なのかを示しているだけ
です。 例えば$V_E$なら電球$E$の電圧$(V)$ということですね。 ここでは電球$E$を英語の授業、電球$M$を数学の授業としましょう。 体力は電池($=$家)で回復し、電球($=$授業)を通ると減少します。 本来は電位と呼びますが中学では登場しないためここではこれ以上触れません。

分かりやすくするために、「電球$E$の方が電球$M$より電流が流れにくい」と設定しておきます。 つまり「英語の方が数学より大変な授業だ」ということですが、 これは抵抗の話になりますので、ここでは深く考えなくても大丈夫です。

直列回路に流れる電流
まずは直列回路ですが、 図によると下の家から$6$人の生徒が出発し、 まずは英語の授業を受け、その後数学の授業を受けるようです。 回路に分岐がないため、
選択の余地はなく問答無用で
英語と数学両方の授業を受ける必要があります。 言い換えると

   ・家を出た$6$人の生徒は全員両方の授業を受ける$\cdots I=I_E=I_M$
   ・家で回復した$30$の体力は英語と数学で分割して使われる$\cdots V=V_E+V_M$

ことになりますね。
全員が両方の授業を受けるわけですから
、 英語も数学も出席者の数は$6$人のはずですし、 2つの授業合わせて、体力は家で回復した$30$しか使えないはずです。

ここで「電線の外へ出てサボる生徒」や 「授業を寝てやり過ごし体力を温存する生徒」の存在は考えないでください! また、どちらの授業で多く体力を使うのかはオームの法則によって決まりますので、 ここでは深く考えなくても大丈夫です。

並列回路に流れる電流
次に並列回路について考えていきましょう。 直列の時とは違い、この回路には分岐がありますから、
どちらの授業を受けるか選択することができます
。 といってもどちらかの授業は受けなければなりませんから、 結局どの生徒も
必ず1つだけ授業を受ける
ことになります。 つまり、

   ・家を出た$6$人の生徒はどっちかの授業を受ける$\cdots I=I_E+I_M$
   ・家で$30$回復した体力は1つの授業で全て使われる$\cdots V=V_E=V_M$

直列回路と同様、体力温存を目論む生徒も考えませんし、 グルグル回って授業を何度も受ける猛者もいません。 さらに何人が英語を選択するかといったことも オームの法則で決まりますから、ここでは気にしなくて大丈夫です。 この場合だと、しんどい英語の授業よりも、楽な数学の授業を受ける人数の方が多くなります。

なお電球の種類を変えないのであれば、 直列回路に流れる電流は並列回路に流れる電流よりも小さくなります。 普通に考えて「授業を2つとも受けないといけない」なら、 受けに来る生徒は少なくなりそうですよね。

回路の電流まとめ
今回の内容をまとめると次のようになります。

直列:両方とも受講$\cdots I=I_E=I_M,\ V=V_E+V_M$

並列:片方のみ受講$\cdots I=I_E+I_M,\ V=V_E=V_M$

授業で寝たりサボる生徒はいない


公式を憶えて済ませるのではなく、しっかりとしたイメージを持って 自分の中で納得して定着させてくださいね。