【中学理科】合成抵抗の公式
合成抵抗の公式
今回は直列回路や並列回路における合成抵抗の公式を扱います。 回路の性質とオームの法則から導けますが 大変有名かつ有用な公式ですので、 憶えておいて損はありません。

一気にややこしくなるため、文字を用いた厳密な導出や抵抗が3つ以上ある場合には触れず、 今までに扱った例を用いて、その考え方のみを紹介できればと思います。

直列回路の合成抵抗
下の図のような直列回路について考えます。 電圧を$30\mathrm{V}$かけると電流が$6\mathrm{A}$流れたとします。 各抵抗にかかる電圧を測定したら、 電球$E,\ M$の抵抗の大きさをそれぞれ計算でき、$R_E=3\Omega,\ R_M=2\Omega$になったとしましょう。

回路全体を流れる電流$I$が$6\mathrm{A}$であることに注意しつつ、
電球を箱で隠し、1つの抵抗として考えます


するとこの抵抗は、電圧を$30\mathrm{V}$かけると電流が$6\mathrm{A}$流れたので、 抵抗の大きさ$R$はオームの法則より

\begin{eqnarray*} V&=&RI\\ 30&=&R\times 6\\ R&=&5 \end{eqnarray*}

と計算できますね。この$R$のことを合成抵抗と呼びます。 オームの法則等を用いて$R=5\Omega$と計算できましたが、 直列回路の場合

\begin{eqnarray*} R=R_E+R_M \end{eqnarray*}

という風に二つの抵抗の大きさを足せば計算できます。 これが直列回路の場合における、合成抵抗の公式です。 なお、抵抗が3つ以上直列になった場合も同様に、 全て足していけば求まります。

本来ならしっかりと文字のまま計算するべきなのですが、 式変形が複雑ですので別の機会に紹介します。 この公式を使えば、各抵抗にオームの法則を使わなくても 回路全体の電流を計算できたりしますのでなかなか有用です。

並列回路の合成抵抗
続いて、下の図のような並列回路について考えます。 直列回路の時と同様、電球$E,\ M$の抵抗の大きさはそれぞれ$R_E=3\Omega,\ R_M=2\Omega$です。

回路全体を流れる電流$I$は$25\mathrm{A}$です。 直列回路と同様、
電球を箱で隠し、1つの抵抗として考えます


するとこの抵抗は、電圧を$30\mathrm{V}$かけると電流が$25\mathrm{A}$流れたことになるので、 合成抵抗の大きさ$R$はオームの法則より

\begin{eqnarray*} V&=&RI\\ 30&=&R\times 25\\ R&=&\frac{5}{6} \end{eqnarray*}

と計算できます。 並列回路の場合

\begin{eqnarray*} \frac{1}{R}=\frac{1}{R_E}+\frac{1}{R_M}\\ \end{eqnarray*}

という風に、二つの抵抗の逆数の和が合成抵抗の逆数になります。 これが並列回路の場合における合成抵抗の公式です。 なおもう少し変形して、

\begin{eqnarray*} \frac{1}{R}&=&\frac{1}{R_E}+\frac{1}{R_M}\\[13pt] \frac{1}{R}&=&\frac{R_M}{R_ER_M}+\frac{R_E}{R_MR_E}\\[13pt] \frac{1}{R}&=&\frac{R_M+R_E}{R_ER_M}\\[13pt] R&=&\frac{R_ER_M}{R_E+R_M} \end{eqnarray*}

という形に計算したものも有名です。「合成」$=$「積」$\div$「和」 と憶えてしまったもいいと思います。

まとめ
今回登場した公式をまとめると次のようになります。

直列なら$R=R_E+R_M$

並列なら$\frac{1}{R}=\frac{1}{R_E}+\frac{1}{R_M},\ R=\frac{R_ER_M}{R_E+R_M}$


回路の性質やオームの法則から導ける以上、知らないと解けないわけではないですが、 検算やスピードアップに使えます。 問題を解きながら、理解を深めてみてください。