【中学理科】オームの法則を理解しよう
中学2年の理科で登場する「オームの法則」
今回は中学2年で学ぶ「オームの法則」について説明しようと思います。
式自体は超単純で
\begin{eqnarray*}
V=RI
\end{eqnarray*}
たったこれだけですが、使い方がよく分からず苦手な人が多い印象を受けます。
$\Omega$といった見慣れぬ単位が登場し、答えが小数になることが多いということも、
苦手意識を持たれてしまう原因かもしれません。
算数の割合が理解できていればなお分かりやすいのですが、
抵抗とは何かと、オームの法則の使い方に主眼を当てて説明していきます。
前回扱った内容も見て頂ければと思います。
抵抗$[\Omega]$って何?
(電気)抵抗を大雑把に表現すると「
電気がどのくらい通しにくいか
」となります。
一般に鉄や銅といった金属は電気をよく通しますので、
「電気抵抗は小さい」
といえますね。逆にゴムやガラス、ポリエチレンやビニル等は電気を非常に通しにくいので、
「電気抵抗は大きい」
と言えます。
一般に金属など、電気を比較的通しやすいものを導体、とても通しにくいものを不導体(絶縁体)と呼びます。
コンセントの延長ケーブルの中心は銅などの導体で出来ていますが、
表面がポリ塩化ビニルといった不導体で覆われています。
真ん中に金属が無ければ電気が通りませんし、
表面をビニル等でコーティングしなければ感電してしまいます。
ではこの「通しにくさ」の度合いを数字で考えるにはどうすればいいかということですが、
$\Omega$という単位を用いて以下の様に基準を決めています。
\begin{eqnarray*}
「1\mathrm{V}の電圧を加えた時、1\mathrm{A}の電流が流れれば、そのパーツの抵抗は1\Omegaである」
\end{eqnarray*}
例えば$1\mathrm{A}$の電流を流すのに$2\mathrm{V}$も電圧が必要なのであれば、
「電気を$2$倍通しにくい」ということなので、抵抗は$2\Omega$となります。
逆に$1\mathrm{V}$加えただけで$5\mathrm{A}$も電流が流れたら、
「電気を$5$倍通しやすい」ということで、抵抗は$\displaystyle\frac{1}{5}\Omega$となるわけですね。
整理して書くと、
\begin{eqnarray*}
2\mathrm{V},\ 1\mathrm{A}&\longrightarrow& 2\Omega\\
1\mathrm{V},\ 5\mathrm{A}&\longrightarrow& \displaystyle\frac{1}{5}\Omega
\end{eqnarray*}
となりますから、結局のところ
電圧を電流で割れば抵抗になる
ということで、
最初に紹介した式が導かれます。
\begin{eqnarray*}
\frac{V}{I}&=&R\\
V&=&RI
\end{eqnarray*}
この式を使うと、パーツに電圧を加えてどれだけ電気が流れたかを測定すれば抵抗の値を計算できますね。
なお抵抗はパーツの個性みたいなものですから、
温度を変えたり変形させたりしなければ
抵抗の大きさは変わりません
。
つまり回路を繋ぎ変えても(電球が切れたりしなければ)$R$の値は流用できます。
これを回路で使うには?
では実際に回路の中で使ってみましょう。
前の記事で使った直列回路の図を、単位を補ってもう一度載せます。
注意しなければならないのは、
オームの法則は各パーツ(今は電球)ごとに適用する
ということです。
例えば電球$E$の抵抗$R_E$について考えると、電球$E$に流れる電流$I_E$とかかる電圧$V_E$はそれぞれ
\begin{eqnarray*}
I_E=6\mathrm{A},\ V_E=18\mathrm{V}
\end{eqnarray*}
\begin{eqnarray*}
R_E=\frac{V_E}{I_E}=\frac{18}{6}=3\Omega\\
\end{eqnarray*}
\begin{eqnarray*}
R_M=\frac{V_M}{I_M}=\frac{12}{6}=2\Omega\\
\end{eqnarray*}
となり、もし直列回路に電圧計や電流計を用いて電圧や電流を測定出来れば、
それぞれの電球の抵抗はオームの法則から計算できるわけです。
では回路を並列に繋ぎ変え、各電球に流れる電流を予想してみましょう。
前提として、並列回路でかかる電圧は同じなので、$V_E=V_M=30\mathrm{V}$です。
回路を繋ぎ変えても抵抗の大きさは変わらないので
$R_E=3\Omega,\ R_M=2\Omega$ですから、
電球それぞれについてオームの法則をたてると、
\begin{eqnarray*}
V_E&=&R_EI_E\\
30&=&3I_E\\
I_E&=&10\mathrm{A}
\end{eqnarray*}
\begin{eqnarray*}
V_M&=&R_MI_M\\
30&=&2I_M\\
I_M&=&15\mathrm{A}
\end{eqnarray*}
となり、回路にはこのぐらいの電流が流れるだろうという予想ができますね。
パーツごとに使えば必ず解ける
このようにオームの法則を正しく使えば、
(合成抵抗の公式も憶えておいた方がよいのですが)
中学理科の抵抗に関する基本的な問題は大概何とかなります。
「抵抗が分かってる電球を直列に繋いだらどのくらい電流が流れるか」
といったことも、ちょっと工夫すれば解けるのですが
これは次回以降にお話しします。
抵抗は「電流の流れにくさ」
$V=RI$
オームの法則はパーツごとに適用する
要するに
「電流」「電圧」「抵抗」のうち2つを求めれば使える!
ということなのですが、
学校ワークの問題を解いてしっかりと理解しておきましょう。