【中学数理】小数と分数のどっちを使うべき?
分数と小数
初めて分数を学ぶとき、分数と小数の対応関係も習います。例えば

\begin{eqnarray*} 4\div 10=0.4=\frac{4}{10} \end{eqnarray*}

の様に、(割り切れない場合は別として)割り算の答えは小数と分数両方で表すことができます。 数学では分数の方が多く登場しますが、

\begin{eqnarray*} 0.6x=0.2+x \end{eqnarray*}

というような小数が混じった方程式の計算方法も習います。 勿論、小数と分数の計算方法は両方知っておかなければなりませんが、 今回は両者を比較した後、「どちらを使うべきか」についてお話ししようと思います。

結論から申し上げますと、小数を使わなければならないこともありますが、
小数よりも分数を使うべき場合の方が多い
と思います。

小数は大きさをつかみやすい
小数の一番の強みは大きさを実感しやすい
ということです。 $\frac{8}{25}$と$\frac{3}{10}$の大小比較をするなら通分しなければなりませんが、 $0.32$と$0.3$と書かれていれば一目瞭然ですね。 また四捨五入や有効数字の考慮といった近似・誤差評価がしやすいため、
理科では原則的に小数で
答えます。

その一方で(ふつうはそんなことしませんが・・・)、 $3\div 7$といった割り切れない割り算の答えを循環小数で表すのは避けるべきです。

\begin{eqnarray*} 3\div 7=0.\dot{4}2857\dot{1} \end{eqnarray*}

の様にしてしまうと、表現が長くなり、計算もやりづらくなりますね。 この場合は分数を使いましょう。

分数は計算が楽
一方で、分数を使う最大の利点は
計算が楽になる
ということです。 例えば「$2.8\div 22.4$」という割り算を計算する場合を考えてみましょう。 普通に筆算でも計算できますが、

\begin{eqnarray*} 2.8\div 22.4&=&\frac{28}{10}\div\frac{224}{10}\\ &=&\frac{28}{224}\\ &=&\frac{4}{32}\\ &=&\frac{1}{8}\\ &=&0.125 \end{eqnarray*}

という風に約分をしていくと計算は格段に速くなります。 $22.4$は高校化学の計算問題でよく登場しますが、 大概このような約分ができます。 他にも、

\begin{eqnarray*} 0.25\times 64&=&\frac{1}{4}\times 64\\ &=&16 \end{eqnarray*}

といった掛け算でも分数の方が楽ですね。 小数が出てきた場合は常に
分数で楽に計算できないかを考えて
下さい。 これだけで計算ミスも大分減るうえ、時間短縮にもつながります。

仮に$350\div 49$といった割り切れない計算でも、

\begin{eqnarray*} 350\div 49&=&\frac{350}{49}\\ &=&\frac{50}{7}\\ &=&50\div 7 \end{eqnarray*}

というように約分を有効利用すれば筆算が楽になります。 理科でも可能な限り分数で計算を進め、最終的に答えを求めるときだけ小数に直しましょう。

憶えておくべき小数と分数の変換
特に理科で役立つのですが、次の計算結果は憶えておいた方がいいですね。

\begin{eqnarray*} 0.25=\frac{1}{4} &\ & 0.75=\frac{3}{4}\\ 0.125=\frac{1}{8}&\ & 0.375=\frac{3}{8}\\ 0.625=\frac{5}{8}&\ & 0.875=\frac{7}{8} \end{eqnarray*}

$0.25$と$0.75$は特に目にする機会が多いと思います。 上記のものに限らず、
「またこれか!」となったものについては計算結果を憶えておきましょう
。 「$22.4$は$7$で割り切れる」や、「$14^2=196$」が有名です。

まとめ:小数と分数の使い分け
小数と分数の使い分けをまとめると以下の通りになります。

可能な限り分数で計算する!

理科の答えは小数で!

小数は大きさを実感しやすい

分数を使えば計算が楽になる(こともある)


もちろん整数の計算で済めば一番楽ですし、 工夫できない場合や小数の方が計算が楽な場合もあるので一概には言えませんが、 大事なのは「素早さと正確さの両立」です。
分数で計算を簡略化できないかを常に意識して
問題を解いて下さいね。