【中学数学】方程式の解き方「等式の性質」って何?
まず方程式ってそもそも何?
「方程式を解く」ということは、数学の大きな目的の一つです。 例えば「波動方程式」というものを解くと、音などの振動、つまり波がどのように伝わるかが分かります。 数学では分類上「定数係数二階線形偏微分方程式」という超長いものになりますが、 最後に「方程式」とくっついていますよね。

少し語弊があるかもしれませんが、例えば気象予報などで、物理的な状態をシミュレーションすることを、 方程式を「数値的に解く」等と言ったりします。 ものすごく高性能なコンピューターを使って気温や気圧がどのように変化するかを計算し、未來の天気を予想するわけですね。 車が走るときの空気の流れを計算し、低燃費にするなんてこともあるかもしれません。

とはいえ、今回もそんな難しいことは扱わず、中学1年で習う方程式について解説していこうと思います。 難しく言うと「1元1次方程式」となりますが、

   ・1元$=$文字が$1$つしか登場しない
   ・1次$=$文字の$2$乗以上が登場しない

ということです。要するにこんなやつですね。

\begin{eqnarray*} 2x+4=10 \end{eqnarray*}

方程式の意味が分かっているなら、テキトーに値を代入していけばいいじゃんとなるわけですが、 ここでは方程式の意味と基本的な解法についてお話ししていければと思います。

方程式の意味
必勝法といった意味の「勝利の方程式」なんて言い回しもありますが、 数学の方程式はちょっとニュアンスが異なります。 厳密には「(未知数)を含む等式」という表現になりますが、これではよく分かりませんので かみ砕いて説明します。

今ここにリンゴが$2$コあるとします。このリンゴと$100\mathrm{g}$のおもり4つを合わせると、 ちょうど$1000\mathrm{g}(=1\mathrm{kg})$のおもりと釣り合ったとします。 この情報のみからリンゴの1つの重さを計算してみましょう。

話がややこしくなるので、 「2コのリンゴの重さが違うのでは?」や「電子天秤で測れば・・・」といったツッコミは ここではなしで考えましょう。

まず普通に考えて、リンゴ2この重さはこのように引き算で計算できるでしょう。

\begin{eqnarray*} リンゴ2コ&=&1000-100\times 4\\ &=&1000-400\\ &=&600 \end{eqnarray*}

$2$コ合わせて$600\mathrm{g}$なわけですから、1つはこれを2で割り、

\begin{eqnarray*} リンゴ1コ&=&600\div 2\\ &=&300 \end{eqnarray*}

となるはずです。まぁ勿論正解です。算数ではこう答えると満点でしょう。 ですがこれだけだと応用が利きません。リンゴの個数が変わるだけならまだしも、 「りんごと$100\mathrm{g}$のおもり$2$つをセットで$5$つと、リンゴ$2$コが合わせて$1\mathrm{kg}$のおもりと・・・」 等という状況になると、かなり面倒くさいことになります。 さらにミカンが登場したりしたらもう算数では無理ですね。 従って数学では未知数$x$を使って次のように考えます。

リンゴの重さを$x\mathrm{g}$とすると$(x$を$2$つと$100$の$4$倍を足すと$1000$になるので$)$、

\begin{eqnarray*} 2x+100\times 4&=&1000\\ 2x+400&=&1000\\ 2x&=&1000-400\\ 2x&=&600\\ x&=&300 \end{eqnarray*}

内容は同じですが、日本語が消えて数式の連続だけで書き表すことができますね。 この式の1行目の様に、
「○○と△△が同じだ!」といった主張を式に表したものが方程式
です。 最初に登場した「波動方程式」等も例外ではなく、ただ登場する記号が多く難しいだけです。

そして、実は方程式さえ立てることが出来れば、その計算方法は大概数学が教えてくれます。 いちいち日本語で説明しなくても「数学が正しいって言ってるんだからこれでよし!」と胸を張って言うことができます。 この方程式の場合基本的には「等式の性質」ということさえ覚えておけば大丈夫です。

「等式の性質」とは??
方程式を解くなら、先のリンゴの例で見た通り、方程式を変形していく必要があるのですが、 好き勝手に変形させていいわけではありません。 「最初の主張を同じまま変形していく」必要がありますから、それなりのルールがあり、これを 等式の性質と呼んでいます。

このルールを詳しく書くと次のようになります。$a=b(c\neq 0)$の場合、

   ・$a+c=b+c$
   ・$a-c=b-c$
   ・$ac=bc$
   ・$\displaystyle \frac{a}{c}=\frac{b}{c}$

間違ってはいないというか正しいのですが、個人的に分かりやすいとは思えませんので、 「
両辺に同じことをする限り大丈夫!
」と考えてください。 少なくとも私が方程式を解いているとき、 この等式の性質のことはあまり意識していません(4つのうちどれを何を使ったか説明はできますよ!)。 要するに両辺に同じもの($x$を含んでいてもいい)を「たす、ひく、かける、わる」のどれかをする限り大丈夫です。 また、
文字式の整理や計算はいつ実行しても正解
できます。

これら2点を踏まえて、もう一度リンゴの方程式を見てみましょう。

\begin{eqnarray*} 2x+100\times 4&=&1000\\ 2x+400&=&1000\ \ \leftarrow\ \left( 整理 \right)\\ 2x&=&1000-400\ \ \leftarrow\ \left( 400引いた \right)\\ 2x&=&600\ \ \leftarrow\ \left( 整理 \right)\\ x&=&300\ \ \leftarrow\ \left( 2で割った\right) \end{eqnarray*}

さらに丁寧に書くとこんな感じです。

\begin{eqnarray*} 2x+100\times 4&=&1000\\ 2x+400&=&1000\ \ \leftarrow\ \left( 整理 \right)\\ 2x+400-400&=&1000-400\ \ \leftarrow\ \left( 400引いた \right)\\ 2x&=&600\ \ \leftarrow\ \left( 整理 \right)\\ 2x\div 2&=&600\div 2\ \ \leftarrow\ \left( 2で割った \right)\\ x&=&300\ \ \leftarrow\ \left( 整理 \right) \end{eqnarray*}

実際計算する際はここまで書かなくてもいいですが、
上記の2点を組み合わせれば大丈夫
ということがお分かりいただけたでしょうか。

あとはこれを組み合わせていけば大丈夫です。例えばこんな感じです。

\begin{eqnarray*} 2x-5&=&5x+19\\ 2x&=&5x+19+5\\ 2x-5x&=&24\\ -3x&=&24\\ x&=&-8 \end{eqnarray*}

別に$x$を含んだものを足したり引いたりしても問題ありません。 掛けたり割ったりしてもいいのですが、中学だとあまり使う機会はないでしょう。 ただし高校数学でも
文字を含んだ項で割る場合は細心の注意を払ってください
! 数学では$\div 0$はできませんので、これの確認や場合分けが必須です。

括弧を含んでいても分配法則を使えばいいですね。

\begin{eqnarray*} 4x-2(x+2)-1&=&5x+19\\ 4x-2x-4-1&=&5x+19\\ 2x-5&=&5x+19\\ 2x-5x&=&19+5\\ -3x&=&24\\ x&=&-8 \end{eqnarray*}

このように、等式の性質を利用すれば機械的に方程式を処理し、答えを出すことができます。 これが数学の強みで、原則としてどんなに複雑な文章題でも、方程式を立てさえすれば解くことができます。

方程式の意味
今回の内容をまとめると、次のようになります。

方程式は「○○と△△が同じだ!」という主張

「左右に同じことをしている」限り大丈夫

項の整理は好きな時にして大丈夫

文字で割るときは注意!(高校以降)


分母を払ったりといった工夫もあるのですが、長くなりますので今回はここまでにします。 初めはゆっくりで構いません。その代わり
自分がどういう意図をもって変形しているのか
を忘れないようにしてくださいね。