【中学数学】平方根の計算を素早く正解するには?
導入
今回は平方根の効率的な計算方法についてです。 公立中学校3年で習う平方根ですが、分母の有理化など計算のルールが比較的多く、 苦手意識を持っている方は多いかもしれません。

   ・「根号の中身がいつの間にか3ケタに・・・」
   ・「分母の有理化がめんどくさい!」
   ・「素因数分解でミスってしまった。」
   ・「約分できるのに見逃した・・・」

等といったことを一度は経験したことがあるのではないでしょうか? そこで今回は、
いかにして平方根を手っ取り早く処理するか
をテーマにお話を進めていきますね。 基本的な計算方法がまだわからないという人は、教科書を見ながら読んでみてください。

面倒くさいのはどんな時?
まずは下の計算を見てください。

\begin{eqnarray*} \sqrt{12}\times\frac{1}{\sqrt{5}}\times\sqrt{24} &=&\sqrt{12}\times\frac{\sqrt{5}}{5}\times\sqrt{24}\\ &=&\frac{\sqrt{12}\times\sqrt{5}\times\sqrt{24}}{5}\\ &=&\frac{\sqrt{1440}}{5}\\ &=&\frac{12\sqrt{10}}{5}\\ &=&\frac{12}{5}\sqrt{10} \end{eqnarray*}

何も考えずに計算するとこうなりますが、$12\times5\times24$を計算しないといけない時点で相当気後れしてしまいます。 もちろん$144=12^2$を憶えていれば大したことはありません。 ですが$\sqrt{1440}$ではなく$\sqrt{576}\left(=24\right)$や $\sqrt{343}\left(=7\sqrt{7}\right)$になったら素因数分解する羽目に・・・。 焦っていたりすると簡単にできること自体を見落とすかもしれません。

ですが安心してください。今回お話しするコツをマスターすれば、 この程度の計算なら
暗算できるかもしれません
よ。

ポイントを一つずつ解説していきますね。

コツ1:同じ$\sqrt{\circ}$を作り出そう!
第一のポイントは、根号の性質である「
$\sqrt{a}$の$2$乗は$a$
」を使うことです。 根号に限らず数学は同じ形のものに注目すると計算が楽になったりします。 同じ根号が出てきたら超ラッキーです。 次の計算を見てください。 $\sqrt{24}=\sqrt{2}\times\sqrt{12}$なので、

\begin{eqnarray*} \sqrt{12}\times\frac{1}{\sqrt{5}}\times\sqrt{24} &=&\sqrt{12}\times\frac{\sqrt{5}}{5}\times\sqrt{2}\times\sqrt{12}\\ &=&12\times\frac{\sqrt{5}}{5}\times\sqrt{2}\\ &=&\frac{12}{5}\sqrt{10} \end{eqnarray*}

これで$\sqrt{1440}$の地獄から解放されますね。 同じ数字の入った根号同士を見つければ、使えないかどうかを考えてみてください。 もしなくても$($計算のルールを破らない範囲で$)$自分で作り出せばOKです。

コツ2:$\sqrt{\circ}$は早い段階で簡単にしておこう!
$\sqrt{24}=\sqrt{2}\times\sqrt{12}$ならまだしも、$\sqrt{72}$や$\sqrt{84}$ だと「$\sqrt{12}$を作るなんて思いつかねぇ!」という人もいるかもしれません。 計算を練習するときのポイントとして、 $72=6\times 12$や$84=7\times 12$など、
よく出てくるのは覚える
という意識を持てばよいですが、 これには時間が必要です。なので次のように計算してみてはどうでしょうか。

\begin{eqnarray*} \sqrt{12}\times\frac{1}{\sqrt{5}}\times\sqrt{24} &=&2\sqrt{3}\times\frac{\sqrt{5}}{5}\times2\sqrt{6}\\ &=&\frac{4}{5}\sqrt{3\times 5\times 6}\\ &=&\frac{4}{5}\sqrt{90}\\ &=&\frac{12}{5}\sqrt{10} \end{eqnarray*}

$\sqrt{12}=2\sqrt{3}$,$\sqrt{24}=2\sqrt{6}$と
根号の中身を先に小さくしてしまえば
かなり楽になります。 もちろん$\sqrt{3}$と$\sqrt{6}$を先に、

\begin{eqnarray*} \sqrt{3}\times\sqrt{6} &=&\sqrt{3}\times\sqrt{3}\times\sqrt{2}\\ &=&3\sqrt{2} \end{eqnarray*}

と計算しても構いません。このようにすれば
根号の中身の数を小さく保ったまま計算
できますね。

コツ3:分母の有理化よりも約分を優先しよう!
最後に、分母を有理化と約分のタイミングについてお話します。絶対とは言い切れませんが、 ほとんどの場合
有理化は後回しにするほうが楽
に計算できます。 前述の計算でも

\begin{eqnarray*} \sqrt{12}\times\frac{1}{\sqrt{5}}\times\sqrt{24} &=&2\sqrt{3}\times\frac{1}{\sqrt{5}}\times2\sqrt{6}\\ &=&\frac{12\times\sqrt{2}}{\sqrt{5}}\\ &=&\frac{12}{5}\sqrt{10} \end{eqnarray*}

とすれば若干楽になりますね。また、
有理化をする前に約分
をしましょう。例えば

\begin{align*} \frac{2\sqrt{21}}{12\sqrt{14}} &=\frac{2\sqrt{294}}{12\times14} & \frac{2\sqrt{21}}{12\sqrt{14}} &= \frac{\sqrt{3}}{6\sqrt{2}} \\ \ &=\frac{7\sqrt{6}}{84} & \ &= \frac{1}{2\sqrt{6}}\\ \ &=\frac{\sqrt{6}}{12} & \ &= \frac{\sqrt{6}}{12} \end{align*}

のように、見比べてみれば右のほうが楽そうですね。 「コツ2」も同様ですが、
数が小さいほうがありがたい
ので、 約分で先に数を小さくしてしまってから、数が大きくなる有理化は最後にやるほうがいいと思います。 もちろん、掛け算や割り算の場合も同様ですよ。

\begin{eqnarray*} \sqrt{7}\times 3\sqrt{26}\div \sqrt{14} &=&\frac{\sqrt{7}\times 3\sqrt{26}}{\sqrt{14}}\\ &=&\frac{3\sqrt{26}}{\sqrt{2}}\\ &=&3\sqrt{13} \end{eqnarray*}

このように分母の有理化をしなくてよくなる場合もあります。

今回のまとめ
今回お話しした内容をまとめると、次の通りになります。

同じ$\sqrt{\circ}$を作り出そう!

$\sqrt{\circ}$は早い段階で簡単にしておこう!

分母の有理化よりも約分を優先しよう!


この文面を憶えるのではなく、実際に計算する中で意識してみてくださいね。 「
楽に計算してやる!
」という意識で日々の計算に取り組めば、 確実にスピードアップを図れるはずです。