【中学数学】1次方程式を解くコツ
計算はなるべく楽に!
前回に引き続き、今回も1次方程式に関するお話です。 確かに等式の性質を使えば「正解する」ことは出来ますが、 方程式が含む数字によっては「面倒くさい」場合も多く、 その場合は何かしら工夫出来る事もあります。

工夫と言っても色々な種類がありますが、 今回は比較的使いやすく、適用範囲の広い物を取り上げたいと思います。

分数や小数は払う!
まず何といってもこれが重要です。 分数や小数を含む方程式は、初めに同じ値を両辺にかけることで、
分母や小数点を払うのが有効
である場合が多いです。例えばこんな計算ですね。

\begin{eqnarray*} \frac{3}{2}x+4&=&\frac{1}{5}-\frac{2}{5}x\\ 15x+40&=&2-4x\\ 19x&=&-38\\ x&=&-2 \end{eqnarray*}

両辺に分母の最小公倍数である$10$を掛けることで、係数を整数にすることができます。 分数だけではなく整数にも$10$を忘れずに掛けてくださいね。 なお、次のような感じで通分を使ってしまう人を多く見かけます。

\begin{eqnarray*} \frac{3}{2}x+4&=&\frac{1}{5}-\frac{2}{5}x\\ \frac{15}{10}x+4&=&\frac{2}{10}-\frac{4}{10}x\\ \frac{15}{10}x+\frac{4}{10}x&=&\frac{2}{10}-4\\ \frac{19}{10}x&=&-\frac{38}{10}\\ x&=&-2 \end{eqnarray*}

勿論数学的な間違いはなく、これでも正解はできますが、ちょっと書くのが面倒臭いと思いませんか?
方程式は分母を払って大丈夫(文字式はダメ!)
なので 折角なら楽な方を使いましょう。 「とりあえずやればいいや」と無の境地で作業を進めるのではなく、 「どうやったら楽に計算できるか」を念頭において練習してくださいね。 小数の場合も要領は同じです。

\begin{eqnarray*} 0.5x-1&=&0.2x+0.8\\ 5x-10&=&2x+8\\ 3x&=&18\\ x&=&6 \end{eqnarray*}

$10$を掛け小数点を右に1コずらせば整数に直せますね。

同じ数で割れるなら割る!
分数や小数がなかったとしても、数はなるべき小さいに越したことはありません。

\begin{eqnarray*} 21x+14&=&35(3-2x)\\ 3x+2&=&5(3-2x)\\ 3x+2&=&15-10x\\ 13x&=&13\\ x&=&1 \end{eqnarray*}

この場合括弧を外す前に両辺を$7$で割ってしまうべきでしょう。 もし7で割らないと、

\begin{eqnarray*} 21x+14&=&35(3-2x)\\ 21x+14&=&105-70x\\ 91x&=&91\\ x&=&1 \end{eqnarray*}

となり、繰り下がりの計算などでミスを誘発しやすいです。 一般に計算ミスが多いと感じる場合、
無駄な計算をしてしまっていることが多いです
。 工夫を思いつかないという人でも、 「まずは両辺を何かで割れないかチェックする」という習慣づけをし、 計算量を減らす努力をしてきましょう。

元の式に代入して検算!
タイトルの通りなのですが、これも非常に重要なポイントです。 文字式の計算と違い、方程式はほとんどの場合検算をすることが可能です。 先に登場した

\begin{eqnarray*} 21x+14=35(3-2x)\\ \end{eqnarray*}

という方程式の解を$x=1$と計算した後、元の式に代入し、等号が成り立つことを確かめれば、 $x=1$が正しい解かを調べることができます。

\begin{eqnarray*} 21x+14&=&35(3-2x)\\ 21\times 1+14&=&35(3-2\times 1)\\ 21+14&=&35(3-2)\\ 35&=&35\ \ \leftarrow\ \ \mathrm{OK!} \end{eqnarray*}

係数に分数を含む場合だと検算が面倒になりますが、 分母を払った後の式に代入するだけでも大分精度が上がります。

\begin{eqnarray*} \frac{3}{2}x+4&=&\frac{1}{5}-\frac{2}{5}x\ \ (x=-2 が答え)\\ 15x+40&=&2-4x\\ 15\times (-2)+40&=&2-4\times (-2)\\ -30+40&=&2+8\\ 10&=&10\ \ \leftarrow\ \ \mathrm{OK!} \end{eqnarray*}

答えが分数になってしまった場合は仕方ありません・・・テストの残り時間などと相談してくださいね。

同じものを置き換える!
上記のものに比べ中学1年だと汎用性はあまり高くありませんが、文字による置き換えはとても大切な考え方です。 例えば、

\begin{eqnarray*} 5(3x-2)-12=-2(3x-2)+16 \end{eqnarray*}

という方程式があった時、$3x-2=A$等と置き換えて

\begin{eqnarray*} 5(3x-2)-12&=&-2(3x-2)+16\\ 5A-12&=&-2A+16\\ 7A&=&28\\ (3x-2)&=&4\\ 3x&=&6\\ x&=&2 \end{eqnarray*}

と考えれば少し楽かもしれません。 慣れてくれば$A$を使わなくても計算していけます。 置き換えの本当の威力が発揮されるのは二次方程式以降ですが、 利用問題などでは時折使えることがあります。

方程式ならいつでも使える
今回のまとめは以下の通りです。

分数や小数は消し去る!

同じ数で割れないかチェック!

検算をする!

同じ形に注目して置き換え!


なお、今回のコツは連立方程式や二次方程式など、
方程式と名の付く計算では常に有効
です。 特に二次方程式の解の公式を使う場合、係数を小さくできれば非常に楽になりますので、 今のうちから上記の工夫を使いこなせるようにしておきましょう。